最高裁判所第一小法廷 昭和26年(れ)2078号 判決 1952年1月31日
本籍
茨城県結城郡大花羽村大字大輪五六〇番地
住居
東京都足立区日の出町一丁目二〇番地
駄菓子商
古谷春吉
大正四年三月三一日生
右に対する賭場開帳図利、常習賭博被告事件について昭和二六年二月一三日東京高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。
主文
原判決を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差戻す。
理由
弁護人宮崎速任の上告趣意について。
被告人は弁護人を選任しその届出をなしたに拘わらず、原審はその後指定した公判期日を弁護人に通知せず、従つて弁護人不出頭のまま審理を終結し、判決宣告期日に有罪判決を言渡したことは、所論のとおりである。これは弁護権の不法な制限であつて、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があり、且つ原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。それ故に、原判決を破棄する。(弁護人庄司卓蔵の上告趣意は、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない)。
よつて刑訴施行法二条、三条の二、刑訴四一一条一号、旧刑訴四四八条の二により主文のとおり判決する。
この判決は、裁判官全員一致の意見である。
検察官 十蔵寺宗雄関与
(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)